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編集メモ: 「無添加」と書かれた商品でも、からし抽出物のような添加物が使われていることは珍しくありません。添加物図鑑の実データから、なぜこの物質が「無添加」表示と両立するのかを検証しました。

「無添加」表示とからし抽出物(食品用)──マスタード製品・ドレッシングに見る添加物表示の読み方

スーパーやコンビニの棚には「無添加」を掲げた食品が数多く並んでいますが、その原材料表示をよく見ると「からし抽出物」や「香辛料抽出物」といった記載を見つけることがあります。これは矛盾ではなく、日本の食品表示制度の構造そのものに理由があります。本記事では、マスタード製品やドレッシングで実際に使われている「からし抽出物(食品用)」を題材に、HONMONOシリーズの添加物図鑑に収録された実データをもとに、「無添加」表示の裏側にある添加物の位置づけを検証します。

「無添加」表示とは何を指すのか──法的な定義のあいまいさ

「無添加」という言葉には、実は食品表示法上の明確な定義がありません。多くの消費者は「添加物が一切入っていない」と受け取りますが、実際には「保存料無添加」「合成着色料無添加」のように、特定の添加物カテゴリーだけを対象にした表示であることがほとんどです。

  • 「無添加」は食品表示基準に定義された用語ではなく、事業者が任意に使う任意表示である
  • 「保存料無添加」と書かれていても、酸化防止剤や香辛料抽出物は使用されている場合がある
  • 消費者庁は2022年に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を公表し、誤認を招く表示への注意を促した

つまり「無添加」の3文字だけを見て安心するのは早計で、どのカテゴリーの添加物が対象になっているのかを確認する必要があります。特にドレッシングやマスタード製品は、保存料を使わない代わりに植物由来の抽出物で保存性や風味を補うケースが多く、この構造を理解していないと表示の意味を読み違えてしまいます。詳しい制度の考え方は消費者庁の食品表示に関する情報で確認できます。

からし抽出物(食品用)とは何か──植物抽出物・香辛料抽出物としての正体

からし抽出物(食品用)は、その名の通りカラシナやマスタードシードから抽出される成分を由来とする添加物で、添加物図鑑では「植物抽出物・香辛料抽出物」というカテゴリーに分類されています。合成の保存料とは出発点が異なり、香辛料そのものが持つ抗菌性・抗酸化性を利用した天然由来の添加物です。

  • カラシナやマスタードシードに含まれる辛味成分(アリルイソチオシアネートなど)を濃縮したもの
  • 合成保存料とは異なり、香辛料が本来持つ抗菌作用を利用する発想で使われる
  • 「食品用」と付くのは、香料用など他用途のからし抽出物と区別するための表記である

この由来の違いが、「無添加」表示との両立を可能にしている最大の理由です。マスタードシード自体が古くから香辛料・薬味として食用されてきた歴史があるため、事業者側は「合成添加物ではなく香辛料の抽出物」という位置づけで、保存料無添加をうたう商品にも配合できると判断していると考えられます。

なぜマスタード製品・ドレッシングに使われるのか──保存性と風味の両立

添加物図鑑の主な使用食品の欄によれば、からし抽出物(食品用)は「マスタード製品・ドレッシング・加工食品」で使われています。これらの食品に共通するのは、油分や酢を含み比較的日持ちしやすい一方で、開封後の微生物汚染や風味劣化を防ぐ工夫が求められる点です。

  • マスタード製品はもともとの原料自体に近い風味を持つため、抽出物を加えても違和感が出にくい
  • ドレッシングは水分・油分が混在し、保存料を使わない場合は別の防菌手段が必要になりやすい
  • 加工食品全般では、香辛料由来の風味づけと保存性向上を同時に狙って配合されることがある

このように、からし抽出物は単なる保存目的だけでなく、マスタード特有のピリッとした風味を補強する役割も兼ねている点が特徴です。合成保存料を1種類加えるのではなく、原料に近い香辛料成分を活用することで、「保存料不使用」の表示と実用的な保存性の両方を成立させようとする設計思想が背景にあると読み取れます。

独自データで見る位置づけ──リスクスコア5という数値の比較

添加物図鑑には、からし抽出物(食品用)を含む天然由来添加物のリスクスコアが登録されています。同じテーマに関連する6件を並べると、合成保存料との違いが数値としてはっきり表れます。

| 添加物名 | 用途分類 | 危険度 | リスクスコア(0〜30) | 主な使用食品 |

|---|---|---|---|---|

| 安息香酸ナトリウム | 保存料 | 中 | 12 | コーラ等炭酸飲料・果汁飲料・ケチャップ |

| からし抽出物(食品用) | 植物抽出物・香辛料抽出物 | 低 | 5 | マスタード製品・ドレッシング・加工食品 |

| 緑茶抽出物 | 酸化防止剤 | 低 | 4 | 食用油・菓子類・飲料 |

| ローズマリー抽出物(ロスマリン酸) | 酸化防止剤 | 低 | 3 | 食用油脂・ドレッシング・加工肉製品 |

| カプサンチン | 天然色素(カロテノイド) | 低 | 2 | パプリカ製品・ソーセージ・スナック |

| アカキャベツ色素 | 天然色素(アントシアニン系) | 低 | 2 | 清涼飲料水・菓子類・ゼリー |

このデータで注目すべきは、合成保存料である安息香酸ナトリウムのリスクスコアが12で危険度「中」なのに対し、からし抽出物(食品用)を含む天然由来の5物質はいずれもリスクスコア5以下、危険度「低」に収まっている点です。とりわけ安息香酸ナトリウムはデンマークで使用が一部制限されている一方、からし抽出物を含む残り5物質にはそうした海外規制の記載がなく、規制上の扱いにも差が見られます。この数値差が、事業者が「保存料無添加」を掲げつつ植物抽出物を使う根拠のひとつになっていると考えられます。数値は当サイトが独自に集計したものであり、添加物図鑑で2,138件の危険度ランクを調べることで、他の添加物との比較も可能です。

保存料との違い──合成保存料と香辛料抽出物のリスク差はなぜ生まれるか

なぜ合成保存料と香辛料抽出物とでリスクスコアに差が出るのでしょうか。添加物図鑑のリスクスコアはADI(一日摂取許容量)の設定状況、使用基準の有無、海外での規制状況などを総合して算出される独自指標であり、単純な「天然か合成か」だけでは説明できない部分もありますが、傾向としては化学合成された保存料の方がADIや使用基準が細かく設定されているケースが多い点が影響していると考えられます。

  • 合成保存料は特定の食品カテゴリーごとに使用基準(上限量)が定められていることが多い
  • 香辛料由来の抽出物は、原料自体が古くから食用されてきた実績があるため相対的に評価が異なる場合がある
  • 海外での使用制限の有無も、リスクスコアの算出要素のひとつとして扱われている

ただし危険度「低」だからといって無条件に安全と断定できるわけではなく、あくまで現時点で入手可能な規制情報に基づく相対評価である点には留意が必要です。表示を確認する際は、単一の数値だけでなく用途分類や規制状況もあわせて見る習慣が役立ちます。

消費者はラベルをどう読むべきか──実践的なチェックポイント

「無添加」という言葉だけに頼らず、原材料表示そのものを確認する習慣を持つことが、添加物との付き合い方を考えるうえで実践的な第一歩になります。

  • 「保存料無添加」「着色料無添加」など、無添加の対象がどのカテゴリーかを確認する
  • 「〇〇抽出物」という表記があれば、それがどの用途分類(保存料・酸化防止剤・色素など)に相当するかを調べる
  • 気になる添加物名が出てきたら、リスクスコアや危険度、海外での規制状況まで確認する

こうしたチェックを重ねることで、「無添加=安全、添加物入り=危険」という単純な二分法ではなく、それぞれの添加物がどのような目的・根拠で使われているかを踏まえた判断ができるようになります。特にドレッシングやマスタード製品のように香辛料抽出物が多用されるジャンルでは、この視点が特に役立ちます。

まとめ

  • 「無添加」表示は法的な統一定義がなく、対象カテゴリーが限定されている場合が多い
  • からし抽出物(食品用)は植物抽出物・香辛料抽出物に分類され、マスタード製品やドレッシングで保存性と風味づけの両方に使われている
  • 添加物図鑑のリスクスコアでは、からし抽出物(5)を含む天然由来添加物は合成保存料の安息香酸ナトリウム(12)より低く評価されている
  • リスクスコアはADI・使用基準・海外規制状況などから算出される相対指標であり、絶対的な安全性の保証ではない
  • 「無添加」の文字だけでなく、原材料表示に並ぶ個別の添加物名を確認する習慣が実践的な読み方につながる

データの出典と更新情報

  • 本記事の独自データは HONMONO シリーズが運営するデータベースから取得しています。
  • 添加物図鑑(https://tenka.honmonojp.com) データ取得日: 2026-08-22
  • 執筆・編集: HONMONO編集部(記事は公開前に人間が確認しています)
  • 最終更新日: 2026-08-22

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