一部の加工食品に使われる添加物6件 パラオキシ安息香酸ベンジルを筆頭にリスクスコアで比較する
編集メモ: 「添加物=危険」と一括りにする情報が多い中、この記事は添加物図鑑が2,138件の中から算出したリスクスコアという独自指標を使い、パラオキシ安息香酸ベンジルなど6件を横並びで比較します。数値の出どころまで示すことが、この記事の価値です。
添加物の名前を見ても、それが実際にどの程度のリスクを持つのか判断するのは難しいものです。本記事では、HONMONOシリーズが独自に運営する添加物図鑑が2,138件の収録データの中からリスクスコアを算出した6件を取り上げ、数値の並びから何が読み取れるかを解説します。パラオキシ安息香酸ベンジルを筆頭に、スコアの高い順に見ていきましょう。
添加物のリスクをどう比べればいいのか
食品表示ラベルに並ぶ添加物名を見ても、「保存料」「甘味料」といった用途分類だけでは危険度の差は見えてきません。同じ「保存料」という分類の中にも、ADI(一日摂取許容量)の余裕や海外での規制状況によって、リスクの大きさにはばらつきがあります。
- 用途分類だけを見ると、同じカテゴリの添加物はすべて同程度のリスクに見えてしまう
- 海外で規制されているかどうかは、パッケージの表示だけでは分からない
- 「天然由来」という言葉のイメージと、実際のリスク評価は必ずしも一致しない
- 複数の添加物を横並びで比較できる指標がないと、どれから注意すべきか判断できない
こうした課題を補うために、添加物図鑑ではADI・使用基準・海外規制状況を踏まえた0〜10のリスクスコアという独自指標を算出しています。次のセクションでは、このスコアを実際の数値とともに紹介します。
独自データ:添加物図鑑が算出した6件のリスクスコア
添加物図鑑には2,138件の添加物が収録されていますが、その中から一部の加工食品や飲料に使われる代表的な6件を抽出し、リスクスコアが高い順に並べたのが以下の表です(データ取得日 2026年8月24日)。
| 添加物名 | 用途分類 | 危険度 | リスクスコア(0〜30) | 主な使用食品 |
|---|---|---|---|---|
| パラオキシ安息香酸ベンジル | 保存料 | 中 | 12 | 一部の加工食品・飲料 |
| グリチルリチン酸三ナトリウム | 甘味料・風味増強剤 | 中 | 10 | 調味料・加工食品・菓子類 |
| ソルビン酸ナトリウム | 保存料 | 低 | 4 | 漬物・加工食品・ソース類 |
| アドバンテーム | 甘味料 | 低 | 4 | 加工食品・飲料・菓子類 |
| β-アポ-8'-カロテン酸エチルエステル | 合成・天然系カロテノイド色素 | 低 | 4 | チーズ・加工食品・飲料 |
| クロシン | 天然色素 | 低 | 3 | 和菓子・飲料・漬物 |
この6件を見ると、リスクスコアはパラオキシ安息香酸ベンジルの12からクロシンの3まで、約4倍の開きがあることが分かります。危険度の分類では「中」と「低」の2段階しかありませんが、スコアという連続値で見ると、同じ「低」の中でもソルビン酸ナトリウムとクロシンの間にすら差があることが見えてきます。用途分類が同じ「保存料」でも、パラオキシ安息香酸ベンジルとソルビン酸ナトリウムのスコアには3倍の差があり、分類名だけで安全性を判断することの限界がこの表からうかがえます。詳しい個別データは添加物図鑑で2,138件の危険度ランクを調べるから確認できます。
首位パラオキシ安息香酸ベンジル、何がスコアを押し上げているのか
6件の中でリスクスコア12と最も高い数値が付いているのがパラオキシ安息香酸ベンジルです。この添加物は保存料に分類され、一部の加工食品や飲料に使われています。危険度は「中」に区分されており、極端に危険というわけではありませんが、6件の中では最もスコアが高い点は押さえておく必要があります。
- 用途分類は保存料で、微生物の繁殖を抑えて食品の日持ちを良くする目的で使われる
- 危険度区分は「中」で、6件の中で唯一グリチルリチン酸三ナトリウムと並ぶ最上位帯にある
- 添加物図鑑のデータでは、EU(欧州連合)において食品添加物として未承認とされ、使用が制限されている地域がある
- 主な使用食品は一部の加工食品・飲料で、原材料表示を確認しないと気づきにくい
EUで未承認という事実は、単に「規制が厳しい地域がある」という以上に、地域ごとの安全性評価の基準そのものが異なることを示しています。日本国内で使用が認められている添加物であっても、海外の評価機関が異なる結論を出しているケースがあることは、加工食品を選ぶ際の判断材料として知っておく価値があります。EUの食品安全評価の枠組みについては、欧州食品安全機関(EFSA)の公式サイトで公開されている情報が参考になります。
2位グリチルリチン酸三ナトリウム、甘味料としての立ち位置
リスクスコア10で2位に位置するのがグリチルリチン酸三ナトリウムです。用途分類は甘味料・風味増強剤で、調味料や加工食品、菓子類に幅広く使われています。危険度は「中」で、パラオキシ安息香酸ベンジルと同じ区分にあります。
- 用途は甘味料・風味増強剤で、砂糖の数百倍とされる甘味を持つ甘草由来の成分がベースになっている
- 危険度区分は「中」で、6件のうち上位2件がともにこの区分に入っている
- 主な使用食品は調味料・加工食品・菓子類と幅広く、日常的に摂取する機会が多い分類である
- リスクスコア10は、3位以下のソルビン酸ナトリウムなど(いずれも4)と比べて2倍以上の差がある
甘味料という分類は「砂糖の代替品」というイメージで語られがちですが、リスクスコアで見ると保存料であるパラオキシ安息香酸ベンジルとほぼ同水準に位置しています。分類の名称だけでリスクの大小を判断するのではなく、こうした横並びの数値を確認する習慣が、加工食品を選ぶ際の一つの手がかりになります。
低リスク帯4件に共通する傾向
3位以下のソルビン酸ナトリウム、アドバンテーム、β-アポ-8'-カロテン酸エチルエステル、クロシンは、いずれもリスクスコアが3〜4と、上位2件と比べて明確に低い水準にまとまっています。危険度区分もすべて「低」です。
- ソルビン酸ナトリウム(スコア4)は保存料で、漬物や加工食品、ソース類に使われる
- アドバンテーム(スコア4)は甘味料で、加工食品・飲料・菓子類に使われる
- β-アポ-8'-カロテン酸エチルエステル(スコア4)は合成・天然系カロテノイド色素で、チーズや加工食品、飲料に使われる
- クロシン(スコア3)は天然色素で、和菓子や飲料、漬物に使われており6件中で最も低いスコアである
この4件を見て気づくのは、用途分類が保存料・甘味料・色素とバラバラであっても、スコアの水準は近いということです。つまり「保存料だから危険」「天然色素だから安全」といった分類名からの単純な連想は、必ずしも実際のスコアと一致しません。個々の添加物ごとにADIや規制状況を確認する必要があることが、この4件の並びからも裏付けられます。
表示ラベルだけでは分からないこと
原材料表示には添加物の名称が記載されますが、そこにリスクスコアや海外での規制状況までは書かれていません。今回取り上げた6件のうち、パラオキシ安息香酸ベンジルがEUで未承認という情報も、パッケージの表示だけでは読み取れないものです。
- 原材料表示は添加物の「有無」は分かるが「リスクの大小」までは示していない
- 同じ用途分類の添加物でも、個別の物質ごとにADIや規制状況は異なる
- 海外の規制状況は国内の表示制度には反映されないため、自分で調べる必要がある
- 一括表示された「調味料(アミノ酸等)」のような表記では、個別の物質名すら特定できない場合がある
この情報の非対称性を埋めるためには、添加物ごとのデータベースを自分で参照する習慣が有効です。厚生労働省も食品添加物に関する安全性情報を公開しており、厚生労働省の公式サイトから制度の枠組みを確認できます。
加工食品を選ぶときの実践的なチェックポイント
ここまでの内容を踏まえると、加工食品を選ぶ際にはリスクスコアの高い添加物が使われていないかを確認する視点が役立ちます。ただし、これは特定の添加物の使用を断定的に避けるべきだという意味ではなく、判断材料の一つとして活用する視点です。
- 原材料表示に記載された添加物名を、リスクスコアが分かるデータベースで確認する習慣を持つ
- 同じ用途の食品でも、メーカーによって使用している添加物が異なる場合があるため比較してみる
- 「中」区分の添加物が複数使われている食品は、その分だけ確認する価値がある
- 摂取量や頻度も含めて考える場合は、ADIなど公的機関が示す目安と合わせて確認する
こうしたチェックを一つずつ手作業で行うのは大変ですが、添加物図鑑では2,138件の添加物についてリスクスコアが検索できるため、原材料表示に出てきた名称を調べる際の手がかりになります。
まとめ
- 添加物図鑑が算出したリスクスコアでは、パラオキシ安息香酸ベンジル(12)とグリチルリチン酸三ナトリウム(10)が6件中の上位2件だった
- 3位以下のソルビン酸ナトリウム・アドバンテーム・β-アポ-8'-カロテン酸エチルエステル(いずれもスコア4)、クロシン(スコア3)は低リスク帯にまとまっている
- パラオキシ安息香酸ベンジルはEUで食品添加物として未承認とされ、使用が制限されている地域がある
- 用途分類が同じでもリスクスコアには差があり、分類名だけで安全性を判断するのは難しい
- 原材料表示だけでは読み取れない情報は、添加物ごとのデータベースを自分で確認することで補える
データの出典と更新情報
- 本記事の独自データは HONMONO シリーズが運営するデータベースから取得しています。
- 添加物図鑑(https://tenka.honmonojp.com) データ取得日 2026-08-24
- 執筆・編集: HONMONO編集部(記事は公開前に人間が確認しています)
- 最終更新日: 2026-08-24