編集メモ: 超加工食品は「なんとなく体に悪そう」で終わりがちなテーマです。本記事では添加物図鑑(収録2,138件)と栄養図鑑(収録2,040件)の内製データベースから該当データを抽出し、母数と割合を明記したうえで定義とエビデンスを整理しました。
超加工食品とは?NOVA分類の定義と、独自データで見る添加物・健康リスクの実態
超加工食品(UPF)は、単なる「加工食品」とは異なる概念として国際的に定義が進んでいます。本記事では定義を整理したうえで、HONMONOシリーズの添加物図鑑・栄養図鑑に収録された実データを使い、抽象論になりがちなこのテーマを具体的な数字で裏打ちします。
超加工食品(UPF)の定義:NOVA分類とは
超加工食品を理解するには、ブラジルの栄養学者カルロス・モンテイロが開発した「NOVA分類」を押さえることが不可欠です。FAOやWHOも参照するこの分類は、食品を加工度合いに応じて4グループに分けます。
第1グループ:未加工・最小限加工食品
穀物、豆類、肉、魚、卵、野菜など、乾燥・加熱・冷凍・低温殺菌程度の処理にとどまるもの。
第2グループ:調理用加工食品
油、塩、砂糖、酢など、第1グループの食品を加工して作られ、調理時に使う食材。
第3グループ:加工食品
第1グループに第2グループの物質を加えて製造したもの。缶詰野菜、チーズ、焼きたてのパンなど。
第4グループ:超加工食品(UPF)
工業的な処理と多数の添加物(香料、色素、乳化剤、増粘剤など)を含むもの。栄養価は低く、エネルギー密度が高い傾向があります。スナック菓子、清涼飲料、インスタント麺、加工肉製品などが典型例です。
参考:FAO「超加工食品と肥満」
添加物図鑑のデータで見る「超加工食品に使われる添加物」の実態
超加工食品が「超」と呼ばれる理由の一つは、添加物の種類の多さです。ここで抽象論に終わらせず、添加物図鑑に収録された2,138件のうち、超加工食品と直接関わる6件の実データを見てみます。
| 添加物名 | 用途分類 | 危険度 | リスクスコア(0〜30) | 主な使用食品 |
|---|---|---|---|---|
| グリチルリチン酸三ナトリウム | 甘味料・風味増強剤 | 中 | 10 | 調味料・加工食品・菓子類 |
| ソルビン酸ナトリウム | 保存料 | 低 | 4 | 漬物・加工食品・ソース類 |
| アドバンテーム | 甘味料 | 低 | 4 | 加工食品・飲料・菓子類 |
| β-アポ-8'-カロテン酸エチルエステル | 合成・天然系カロテノイド色素 | 低 | 4 | チーズ・加工食品・飲料 |
| クロロフィリン銅カリウム | 半合成色素 | 低 | 4 | 加工食品・麺類・菓子類 |
| クロシン | 天然色素 | 低 | 3 | 和菓子・飲料・漬物 |
6件中5件は添加物図鑑の判定で危険度「低」(リスクスコア3〜4)にとどまり、「中」判定はグリチルリチン酸三ナトリウム(スコア10)の1件のみでした。個々の添加物が法的な安全基準内であっても、超加工食品には複数種類が同時に使われるのが一般的で、その組み合わせ・長期摂取時の相互作用については研究がまだ発展途上です。※諸説あり
出典:添加物図鑑(データ取得日 2026-07-26)
超加工食品の消費と健康への影響:疫学研究から見えること
複数の大規模疫学研究が、超加工食品の摂取と健康アウトカムの関連性を報告しています。
スペインの大規模コホート研究(2019年発表)では、約2万人を追跡調査した結果、超加工食品の消費が多いグループは全死亡リスクが約14%高かったと報告されています。特に心血管疾患との関連が指摘されました。詳細はBritish Medical Journalに掲載されています。
ブラジルの横断的研究(2021年)では、超加工食品が総エネルギー摂取の30%以上を占める人は、肥満リスクが2倍以上であることが示されました。単なるカロリー過剰では説明しきれない部分があるとされます。
フランスの前向きコホート研究(2020年)では、超加工食品の摂取が多い人でがん(特に乳がん、前立腺がん)のリスク増加が示唆されました。ただしメカニズムの解明はこれからです。
※個人の見解を含みます。これらはあくまで相関関係を示す研究であり、因果関係の確立には至っていません。遺伝的素因や生活習慣、社会経済的要因など多くの交絡因子が存在する点に留意が必要です。
栄養図鑑データで見る、日本の食品の加工度分布
超加工食品の話をするとき、比較対象となる「日常の食品」の全体像が意外と共有されていません。栄養図鑑に収録された食品2,040件の分類別内訳を見てみます。
| 食品分類 | 収録件数 |
|---|---|
| 穀類 | 278件 |
| 野菜類 | 203件 |
| 魚介類 | 197件 |
| 肉類 | 174件 |
| 惣菜 | 125件 |
| 健康食品 | 107件 |
超加工食品に近い性質を持つ「惣菜」は2,040件中125件(約6.1%)、「健康食品」(プロテインバー等を含む区分)は107件(約5.2%)にとどまります。一方、伝統的に未加工・最小限加工に近いとされる発酵食品は322件(約15.8%)収録されており、穀類・野菜類・魚介類・肉類という素材系の分類だけで852件、全体の約41.8%を占めます。日本の食品データベース上でも、素材に近い食品の記録がまだ多いことがうかがえます。
出典:栄養図鑑(日本食品標準成分表に基づき構造化、データ取得日 2026-07-26)
超加工食品が避けにくい理由:食環境と経済的要因
超加工食品が現代社会で広く浸透している背景には、複数の構造的要因があります。
製造企業の視点から:
超加工食品は利益率が高く、流通・保存が容易で、スケールメリットが大きいため経済効率的です。複雑な味わい(複数の香料の組み合わせ)は、強い嗜好性を生むように設計されることもあります。
消費者の視点から:
低所得層ほど超加工食品への依存度が高い傾向が報告されています。これは超加工食品が1カロリーあたりの価格が安いという経済的現実に基づくものです。一方で新鮮な野菜や果物は価格が高く、購入選択肢が限られる環境では、超加工食品が「合理的な選択」になってしまいます。
時間的制約:
長時間労働や通勤時間が長い生活スタイルでは調理時間が確保しにくく、簡便性を優先せざるを得ません。これらの要因を踏まえると、超加工食品への依存は「個人の選択の問題」だけでなく「食環境整備の問題」として捉える必要があります。
超加工食品の摂取を減らすための現実的なアプローチ
WHOをはじめとする栄養専門機関は超加工食品の摂取削減を推奨していますが、完全な排除は現実的ではありません。重要なのは意識的な選択と段階的な改善です。
**食品の加工度を認識する**:パッケージの原材料名と添加物の種類を確認する習慣をつける
**「プラス1未加工食品」戦略**:毎日の食事に未加工食品(野菜、果物、豆類など)を1品加える
**調理の工夫**:週1〜2回の簡単な調理(スープ、炒め物など)を取り入れ、加工食品への依存度を下げる
**選択の優先順位**:朝食や間食など、日常的に摂取する食品から改善を始める
添加物図鑑のようなツールで実際の添加物構成を確認しながら選ぶことも、意識的な選択の一助になります。現在、複数の国で「超加工食品への課税」や「栄養表示基準の強化」が検討されており、食環境そのものの変化も期待されています。
まとめ
- **超加工食品(UPF)の定義**:NOVA分類の第4グループに属し、多数の添加物を含み、栄養価が低くエネルギー密度が高い食品
- **添加物の実態**:添加物図鑑収録2,138件のうち関連6件を見ると、5件は危険度「低」、1件(グリチルリチン酸三ナトリウム)が「中」(リスクスコア10)
- **健康への影響**:複数の疫学研究で肥満、心血管疾患、がんなどのリスク増加との関連が報告されている(因果関係は未確立)
- **日本の食品構成**:栄養図鑑2,040件中、惣菜は125件(約6.1%)、健康食品は107件(約5.2%)、発酵食品は322件(約15.8%)
- **実践的対策**:完全な排除ではなく、段階的な削減と意識的な食品選択が現実的で持続可能なアプローチ
データの出典と更新情報
- 本記事の独自データは HONMONO シリーズが運営するデータベースから取得しています。
- 添加物図鑑(収録2,138件) https://tenka.honmonojp.com (データ取得日 2026-07-26)
- 栄養図鑑(収録2,040件、日本食品標準成分表に基づき構造化) https://eiyo.honmonojp.com (データ取得日 2026-07-26)
- 執筆・編集: HONMONO編集部(記事は公開前に人間が確認しています)
- 最終更新日: 2026-07-26
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